債務整理とは
借金を抱えて苦しんでいる人たちの多くは,債務整理という方法で救われる道があります。債務整理に対する十分な情報と理解があれば,必ず借金から解放されます。
債務整理には、任意整理民事再生自己破産 といった手続があります。また、払い過ぎた利息を返還請求できる 過払い金返還請求という手続もあります。

よくある質問 Q&A

債権者の取り立てで夜も眠れません。どうすればいいでしょうか?
取り立てを止めるには2つの方法があります。ひとつは自己破産、民事再生、あるいは特定調停を申し立てることです。申し立てが済めば、手続きが完了しているかいないかに関わらず債権者は取り立てをすることができなくなります。もうひとつは司法書士、あるいは弁護士に債務整理(手続きの種類は問いません。)の手続きを依頼することです。司法書士や弁護士は債務整理の依頼を受けるとまず受任通知(依頼を受けたという通知)を各債権者に送ります。通知が届いた時点で債権者は取り立てをすることができなくなります。

債務整理をする際のデメリットを教えてください。
全ての手続きに共通するデメリットは各情報信用機関に登録されること・保証人がいる場合に保証人に請求されてしまうことのふたつです。その他、自己破産の場合にのみ、数ヶ月間の間だけ破産者名簿に載ってしまうことと(住民票・戸籍には載りません。)・一定の職業の制限を受けることがあるがあります。

ブラックリストに載る(各情報信用機関に登録される)と永久にローンが組めなくなりますか?
一生ではありません。いちがいには言えませんが、5年から10年くらいといわれています。

ギャンブルや浪費で借金を作ってしまったのですが債務整理できますか?
できます。債務整理をするのに借金をした理由は問われません。ただ、自己破産に関してはギャンブルや浪費は免責不許可事由とされており、手続きができない場合もあります。

債務整理をすると保証人に迷惑がかかりますか?
自己破産と民事再生の手続きは全ての借金を整理する手続きです。よって借入先の1部に保証人をつけているような場合、事故扱いとなり保証人が一括請求を受けるということになってしまいます。

任意整理

任意整理とは:今後の金利がなくなり,借金の総額と毎月の返済額を減額でき,1部の借金だけを選んで整理することが可能です。場合によっては,過払い金が発生し,返済額と相殺した後残った金額が手元に戻ることもあります。


任意整理とはどういう手続きですか?
任意整理とは司法書士または弁護士を代理人に立てて債権者と交渉し、借金を減らして無利息で返済するという手続きです。裁判所を利用しない手続きですので、裁判所へ行く必要はありません。また、整理したい借金だけを整理できる(例えばクレジットカードとサラ金から借り入れがあり、サラ金だけを任意整理するということが可能)ので4つの手続きの中で最も簡素な手続きといえます。

任意整理をするとどれくらい借金が減るのですか?
任意整理は金利の高いサラ金(25%がほとんど)などの借金を、利息制限法という利息に関する法律に基づき今まで金利15〜20%で借金をしていたと仮定した額まで借金を減らし、今後無利息で返済していくという手続きです。
これは長期間借金をしていればしているほど借金を減らせることを意味します。目安としては5年以上借り入れをしている場合、ほとんどの場合借金自体がなくなっているというくらい減額されることになります。

任意整理を自分ですることはできますか?
できません。債権者が交渉に応じる余地はなく、もし和解したとしても高金利のままで債権者に有利な和解になってしまいます。債権者から和解を持ちかけてきた場合についても同じで、専門家に相談されることをお勧めします。

任意整理をした際に和解交渉が失敗することはありますか?
依頼した専門家のやり方や能力によって、和解する額に増減は出てしまいますが、完全に失敗するということはまずないでしょう。

金利の高いサラ金だけを任意整理できますか?
できます。民事再生や自己破産とは違い整理したい借金だけを整理することができます。

特定調停Q&A

特定調停とはどういう手続きですか?
特定調停は裁判所に仲裁に入ってもらって借金を減らし、無利息で返済する手続きです。特定調停の特徴は任意整理と同じく、整理したい借金だけを整理できます(例えばクレジットカードとサラ金から借り入れがあり、サラ金だけを特定調停するということが可能)。また、裁判所への申し立て費用が安く、4つの手続きの中で1番費用がかからない手続きです。

特定調停をするとどれくらい借金が減るのですか?
特定調停は金利の高いサラ金(25%がほとんど)などの借金を、利息制限法という利息に関する法律に基づき今まで金利15〜20%で借金をしていたと仮定した額まで借金を減らし、今後無利息で返済していくという手続きです。
これは長期間借金をしていればしているほど借金を減らせることを意味します。目安としては5年以上借り入れをしている場合、ほとんどの場合借金自体がなくなっているというくらい減額されることになります。

金利の高いサラ金だけを特定調停できますか?
できます。民事再生や自己破産とは違い整理したい借金だけを整理することができます。

特定調停が失敗することはありますか?
失敗しない、とは残念ながらいえません。調停はあくまで裁判所が仲裁役になるという手続きですので、債権者が今後の返済についてNOと言えば調停は失敗ということになります(借金自体は減額されます。)。これに対して任意整理で和解がまとまらないということはまずないでしょう。手続きにかかる費用に関して言えば特定調停の方が安く済みますが、確実性でみるなら任意整理の手続きをお勧めします。

民事再生

民事再生とは:現在の借金が返済困難であることを裁判所に認めてもらい,減額された借金を3年かけて分割で返済していく手続です。おおよそ5分の1から10分の1まで減額されます(住宅ローンは除かれます)。
この手続には「小規模民事再生」「給与所得者等再生」があります。

民事再生とはどういう手続きですか?
民事再生とは裁判所に申し立てをして借金の総額を100万円または5分の1まで減らして、その後3年間で返済するという手続きです。自己破産は借金の支払を免除されますが不動産など高額な財産も失います。これに対し、民事再生は財産を残したまま(住宅ローンが残っている家も可能!)借金を大幅に減らすことができます。また、借金をした理由が問われませんのでギャンブルや浪費で借金をしていたとしても借金を減らすことができます。

住宅ローンの残った家を残したまま手続きができると聞いたのですが?
自己破産の場合、借金の支払を免除されますが、プラスの財産も処分されることになりますので住宅を持っていた場合処分されてしまいます。これに対して民事再生の場合には、住宅ローンについては今までどおり支払を続け、それ以外の借金については大幅に減らすということが可能です。

金利の高いサラ金からの借金だけを民事再生できますか?
できません。民事再生と自己破産は借金全体を整理する手続きですので、借金の1部だけ再生するということは不可能です。任意整理と特定調停に関しては借金の1部だけ整理することが可能ですのでサラ金だけを整理することができます。

アルバイトやパートでも民事再生できますか?
できます。現在継続した一定の収入があるのであれば問題ありません。

自己破産

自己破産とは:自己破産に対してマイナスのイメージを多く持つ人もいると思いますが,そうではありません。これからの人生を前向きに生きていただくために,借金超過で苦しんでいる人を救済するために国が作った制度です。
 戸籍に残ったり,会社(就職)に影響はありませんし,家族が保証人でない限り家族にも影響はありません。
 財産を手放すことにはなりますが,今後の収入は生活費に充てることができます。

自己破産とはどういう手続きですか?
自己破産とは裁判所へ申し立てをして借金の支払を免除する手続きです。自己破産という言葉を聞くとどうしても暗くて重いイメージがしますが、その手続きは申し立てた人を追い詰める制度ではなく、人生をやり直すための制度です。破産することによって財産全てが失われるわけではありません。

自己破産すると家族や周囲の人々に知られてしまいますか?
自己破産の申立をすると官報というものに公告されますが、官報とは国が発行する新聞のようなもので、裁判所などの小さな掲示板に張り出されたりするもので、1部の金融業者などしか確認しませんし、一般の人々が官報を見るという機会はほとんどありません。
しかし、裁判所からの通知が現在住んでいる場所に届くことは避けられません。よって家族と同居しているような場合、その通知が見られてしまうこともあるかもしれません。
なお、専門家に依頼した場合、通知の届く場所を専門家の事務所所在地に変更することが可能です。どうしても同居の親族に知られたくないような場合には専門家に依頼されることをお勧めします。

自己破産すると、勤務先をクビになるということはありますか?
ありません。まずそれ以前に勤務先に自分が自己破産したことを告げない限り知られることもありません。
ただ、自己破産の申立をするまでに債権者が勤務先まで取り立てに来るということがあります。そうなってしまった場合、職場に居づらくなることはあるかもしれません。
なお、司法書士・あるいは弁護士が受任した場合には依頼を受けた時点で取立てを止めることが出来ます。

自己破産をすると、給料を差し押さえられるということはありますか?
ありません。ただ、申し立てまでの間に訴訟を起こされてしまった場合に放置してしまうと給料を差し押さえられるという可能性があります。

自己破産すると、テレビや冷蔵庫などの家財道具も取られてしまうのですか?
取られません。生活に必要とされるものは処分の対象になりませんし、差し押さえに来るということも一切ありません。ただし、所有権が留保されている高額なテレビなどに関しては、債権者に回収される場合もあります。

自己破産すると、自動車は処分されますか?
処分の対象になりますが、下取りの価格が20万円を超えない場合には処分されません。ただし、自動車についてローンがついているとローン会社の所有となっている場合が多く、その場合にはローン会社に自動車を引き上げられてしまいます。

賃貸の住宅に住んでいますが、自己破産すると追い出されてしまうのでしょうか。
家賃が何か月分も滞っている状態であれば別ですが、普通に支払っている限り追い出されることはまずありません。

自己破産すると戸籍や住民票に記載されますか?
されません。破産者名簿(非公開)には記載されますが、戸籍などに載ることは絶対にありませんし、免責が下りれば記載も抹消されます。

自己破産するとローンなどが組めなくなるのですか?
すべてのローンが組めなくなるとは限りませんが民間の信用情報(いわゆるブラックリスト)に載ることになりますので、ローンの審査に信用情報を利用している金融機関ではローンを組むことは難しいでしょう。

自己破産をするとブラックリストは永久に消えないのですか?
信用機関は国内に複数あり、一概には言えませんが5年〜10年は消えないと考えた方がよいです。

自己破産をすると親族や子供に影響はあるのでしょうか?
法的にはまったくありません。親の借金は親の借金、子の借金は子の借金ということになります。ただ、同居の親族であった場合に親が自己破産してブラックリストに載っていると、子のローンが組めなくなるという可能性はあります。

自己破産すると海外旅行に行けなくなるのですか?
めぼしい財産がない場合の自己破産(同時廃止事件の場合)であれば旅行に行っても問題ありません。

自己破産すると年金受給資格を失いますか?
失いません。ただ、年金を担保に貸付を受けている場合には年金の受給資格は失われませんが、債権者に支払うことになってしまいます。

ギャンブルや浪費で借金を作ってしまった場合、免責は下りるのでしょうか?
免責不許可事由に当たりますので原則下りませんが、ケースによっては1部免責、裁量免責が下りる場合もあります。

過払い金請求

過払い金とは:本来支払う必要がないにもかかわらず、貸金業者に支払い過ぎたお金のことです。借入期間が5年間以上で借入金利が20%を超える方は,要チェックです。過払い金返還の手続であなたのお金が返ってくることがあります。

過払い金とは

債務者が貸金業者に返しすぎた、本来であれば支払う義務のないお金のことです。

利率

 今まで消費者金融等の貸金業者の大半は、出資法の上限利率である29.2%すれすれで貸付をおこなっていました。
しかし、利息制限法では、上限利率を10万円未満は年20%、10万円以上100万円未満は年18%、100万円以上は年15%と定めています。
 出資法を超えた利率で貸付をおこなうと刑事罰の対象になるのに対して、利息制限法を超えた利率で貸付をおこなっても罰せられないので、貸金業者等は、29.2%すれすれの利率で貸し付けていました。

過払い金発生時期

 過払い金が発生するかどうかは、ケースバイケースなので一概に何年以上取引があれば必ず過払い金が発生しているとはいえませんが、一般的には、5年以上取引が継続していれば過払い金が発生している可能性があり、7年以上であれば過払い金が発生している可能性が相当高いと思われます。
 ただし、直前に多額の増額をしていたり、少額の借入を頻繁にしているような場合は、取引期間が10年以上ある場合でも過払い金が発生しない場合もあります。

取引履歴

 過払い金があるかどうかを見るためには、取引の内容を把握する必要がありますが、債務者本人が取引内容を証明する資料をすべて保存していることはまずありません。そのために、貸金業者等に取引内容の開示を求める必要があります。
 貸金業者は、「取引履歴の開示義務はない」と主張することも少なくありませんが、金融庁のガイドラインなどを根拠に取引履歴の開示をするように交渉する必要があります。

取引履歴の1部しか開示しない場合

 貸金業者に取引履歴の開示を請求しても1部(3年から10年)しか開示されない場合があります。
 その際業者は、社内規定上出せない、10年以上前の取引記録は随時破棄処分している、などと言ってきます。このように1部しか開示しない場合には、監督官庁に行政指導の申立をしていきます。
 監督官庁の行政指導によっても開示しない場合は、訴えを提起していくこととなります。

貸金業者が0円での和解を提案してきた場合

 貸金業者が取引履歴を開示することなく、債務無しでの和解を提案してくる場合がありますが、貸金業者が債務が残っているのにもかかわらず、債務のない和解を提案してくることはあり得ませんので、間違いなく過払い金が発生してると思われます。

元本の金額が増減した場合に適用される利率

 貸金業者との契約で、「極度額」や「借入限度額」が設定されている場合は、この「極度額」や「借入限度額」を基準にします。
 例えば、借入限度額が100万円の契約を締結した場合は、実際に借り入れた金額が100万円未満であっても利率は15%となります。
 また、最初に150万円を借り入れてその後返済を続けた結果、残元本が100万円未満になっても利率は18%に上がることはなく15%のままです。

推定計算

 貸金業者が取引履歴の開示をしてくれない場合は、取引履歴をこちら側で推定し、再現していきます。
 推定計算をする場合に契約書や領収書がすべて残っていればそれらに基づいて計算しますが、書類がすべて残っていることは非常に希であり、たいていの場合は、債務者の記憶に基づいて計算していきます。
 ある程度の確かさは必要ですが、完璧に正しい必要はありません。間違いは、債権者側で指摘する必要がありますので、それにより取引内容が明らかになります。